「そして父になる」の是枝裕和監督脚本・演出・編集のカンヌ映画祭出展作品。
今も連載が続いてる漫画「海街diary」が原作です。
元々この作品のファンだった是枝監督が運命的に映像化の権利を手にできたことで、めでたく映画化されました。
私は元々漫画を読む方ではなく、この作品も「あ、また是枝作品カンヌ出品か」カンヌは是枝監督好きだなーくらいにしか思っていませんでした。
物語の舞台が鎌倉であること、昨年「そして父になる」を観て是枝監督の作品が好きになったので映画館で観ることにしました。
ストーリー
父親が同じだが四女・すずだけ腹違いの4姉妹。
3姉妹とは別々に暮らしていた父と死別してひとりぼっちになったすず(広瀬すず)が、長女・幸(綾瀬はるか)の提案で鎌倉の古い一軒家に一緒に住むことに。そこから起こる日常が1年を通して丁寧に描かれていきます。
これまで3姉妹で仲良く暮らしてきたところに、3姉妹の誰もがなんの抵抗もなく多感なお年頃の中学生のすずを自分たちの家に迎え入れたり、山形からとびきりかわいい転校生がサッカークラブに入っても、自然とその存在を受け入れる生徒たち。
異分子であるすずが入ることによって生じる軋轢こそが映画になりそうなものですが、それはほとんど描かれていません。嫌な人がほとんど出てこない映画は気持ちがいい。
お年頃の4姉妹ですからそれぞれに恋に敗れたり、仕事で悩んだり。
それでも朝には鎌倉の古い一軒家の食卓に集い、休みの日には共同作業で障子を直し、梅雨の時期になれば梅酒を作る。
平凡に思えるような日常も、海と山自然と共存する鎌倉の風景と共に切りだされると活き活きとしてくるから不思議なもの。
是枝監督のすごさ
是枝監督の作品は、淡々と物語を進めていく中でもセリフにいい塩梅に伏線をまぶしてきます。
観る方も丁寧に画を追っていけば、どんどんそれぞれの人物の人生に引き込まれていきます。
是枝監督って「この登場人物はこういうこと言いそう!」とか「こういうことってよくある!」という事を自然と撮るのが上手いですよね。そして押し付けがましくないのが心地良い。人柄なのかな。
最後の方に4姉妹が揃って縁側で梅酒を作るシーンがあるのですが、鎌倉に暮らしてからの4姉妹のバランス見事に表していました。さすがに是枝監督も狙ったんだろうけど、完璧な画。いつまでも観ていたかったな。
あとがき
観終わった後、同じ日に映画を観た姉や母親と話が尽きませんでした。
ちょっと疲れた時とか折に触れて見直したいかも。
とにかく今、「海街diary」が気になる人には全力で観ることをオススメしたいです。
Webサイト編集、フリーライター。遠征先でご当地グルメを堪能しているときが一番しあわせ。→[詳細プロフィール]
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